弁護団連絡先

弁護団事務局長

 笠原 一浩弁護士

みどり法律事務所

敦賀市布田町84-1-18

電話  0770-21-02552

FAX  0770-21--0253


 

 

 

 

 

 

1 地裁判決の解説

2 弁護団声明

大飯原発3,4号機運転差止請求事件に対する弁護団コメント           

大阪高裁の大飯原発3.4号機運転差し止め仮処分命令申し立て事件の決定について

大飯3.4号機運転差し止め提訴にあたって声明

3 弁護団ご紹介

4 小学生のための大飯判決の意義

 

5 二つの事実誤認発言

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  弁護団

報告 大飯原発3・4号機運転差止め訴訟 報告 2017年11月  

        鹿島啓一  PDF  美浜の会ニュースより転載

高裁金沢支部の審理終結方針に強く抗議する  

 島田 広弁護団長の プレゼン短縮版(6分) プレゼン   

            神戸の講演の PDF

 

高浜原発仮処分事件2017年3月28日大阪高裁決定について

  (付 2017年3月30日 広島地裁決定) 弁護士 井戸謙一    PDF

 

大阪高裁不当決定に対する弁護団声明

           2017年3月28日     弁護団長 佐藤辰弥 PDF

 

原子力規制委員会による入倉・三宅(2001)式の見直しに関する声明 

 2016年6月20日    大飯原発訴訟・福井弁護団事務局長 笠原一浩  PDF

 

 二つの「事実誤認」発言をめぐって           

 大津地裁決定に関する弁護団声明  2014年 11月28日  

 

 

             地裁判決の解説

                      (原子力資料情報室通信 481号)
 

福井地裁大飯原発運転差し止め訴訟判決解説

                  大飯原発運転差止訴訟弁護団     笠原一浩  鹿島啓一


  2014年5月21日、福井地方裁判所において、樋口英明裁判長により大飯原発3、4号機の運転差止めを命じる判決が言い渡された。福島第一原発事故後初めての原発運転差止訴訟判決であった本判決は、歴史的な住民側勝訴判決となっただけでなく、大飯原発にとどまらない全国の原発の再稼働に影響を与える重要な内容を含んでいることから、この点に重点を置いて解説する。本判決の全文はhttp:〃adieunpp.com/download.html等で入手できる。 (当サイトのダウンロード)

1.地震動想定について

 本判決は、まずストレステストでのクリフエッジとされる1,260ガルを超える地震動について、「地震は地下深くで起こる現象であるから、その発生の機序の分析は仮説や推測に依拠せざるを得ない」→「仮説の立論や検証も実験という手法がとれない」→「過去のデータに頼らざるを得ない」として、「発生頻度が必ずしも高いものではない上に、正確な記録は近時のものに限られることからすると、頼るべき過去のデータは極めて限られたものにならざるをえ」ず、したがって、「1,260ガルを超える地震は来ないとの確実な科学的根拠に基づく想定は本来的に不可能である」とした。これは、原告の「地震動想定はバラツキが極めて大きい上に、そのもととなる地震動データは何十年程度のものでしかなく、この程度のデータで今後12、3万年間の最大地震動の想定をしようとすれば、その誤差は極めて大きい」との主張を概ね採用し、「確実な科学的根拠に基づく想定は本来的に不可能」とまで断言したものである。地震現象の長いスパンに比べて、地震動想定において頼るべきデータがあまりに少ないという点は、否定のしようのない事実であり、これに対する反論は困難である。
  次に本判決は、基準地震動を超えた事例が過去10年足らずの間に5例あることなどから、過去と同様の手法に基づき策定された基準地震動S sの700ガルを超える地震が到来する危険があると指摘した。基準地震動が基本的に地震動の平均像で作られてきたことは、地震動予測の第一人者であり、原発の耐震設計を主導してきた入倉孝次郎京都大学名誉教授の「私は科学的な式を使って計算方法を提案してきたが、これは平均像を求めるもの。平均からずれた地震はいくらでもあり」 地震動評価に最も大きな影響を与える応力降下量 を不確かさの考慮として1.5倍にすることには「明確な根拠はない」との見解で明確に示されている(2014年3月27日付愛媛新聞記事)。この見解に照らせば、基準地震動を超える地震など、いくらでもあるのは当然であり、10年足らずに基準地震動を超える事例が5例もあったというのも、当たり前のことである。本判決は、地震動想定に誤りが重ねられた理由については、「学術的に解決すべき問題」として判断を回避しているが、本判決のこの指摘は、これまで原発推進者が、地震動の平均像で耐震設計をしてきたことを、鋭く断罪するものとなっている。なお入倉名誉教授は、本判決について、「揺れの強さが1,260ガルを超える地震が絶対に来ないとは言い切れず、警告を発する意味で重要な判決だ」とコメントしている(2014年5月22日毎日新聞記事)。

本判決のこれらの指摘は、大飯原発に限らず全国の原発における基準地震動の想定手法が信頼できないことを示したものである。川内原発、高浜原発、大飯原発等の新規制基準適合性に係る審査において、基準地震動Ssの1-3割程度の引上げが検討されているが、本判決の指摘からすれば、この程度の引上げでは到底足らないことが明らかである。

 

2.地震による冷却機能喪失の危険性について

 本判決は、①1,260ガル(ストレステストにおけるクリフエッジ)を超える地震が到来した場合、②700ガル(基準地震動S s)を超えるが1,260ガルに至らない地震が到来した場合、③700ガルに至らない地震が到来した場合という全てのケースにおいて、冷却機能が喪失する危険を認めている。
  ①ストレステストにおけるクリフエッジを超えた場合の危険は、事業者も認めるところであり本判決の指摘を待つまでもないが、本判決は、②基準地震動を超えた場合のイベントツリーが事故原因につながる事象の全てをとりあげているとは認められないこと、イベ
ントツリー記載の対策の実施の困難性、被告の主張する安全余裕の考えが採用できないことなどを指摘し、基準地震動を超える地震が到来した場合に冷却機能が喪失する危険を認めた。
 また、③基準地震動を下回る地震によっても外部電源と主給水が断たれるおそれがあるが、外部電源と主給水は、いずれも冷却機能の主たる役割を担うから、それにふさわしい耐震性を求めるべきであり、外部電源と主給水が同時に失われた場合、実施困難な限られ
た手段が効を奏しない限り大事故となるなどとして、基準地震動に至らない地震が到来した場合にも冷却機能が喪失する危険を認めた。
上述した地震時の冷却機能喪失の危険は、大飯原発に限らず全国の原発(但し、主給水喪失については加圧水型)が有するものであり、また、新規制基準においても解消されていない危険である。特に、上記③に関し、福島第一原発事故で地震によって外部電源設備等が損傷したことから、重要度分類指針及び耐震重要度分類の見直しが検討されたが、これらの見直しは、新規制基準では見送られ、検討課題となったままである。

 

3.使用済み核燃料の危険性について

  本判決は、崩壊熱を発し続けるという使用済み核燃料の危険性を指摘した上で、福島第一原発事故において、近藤駿介原子力委員会委員長(当時)が最も重大な被害を及ぼすと想定したのは使用済み核燃料プールからの放射能汚染であったこと、4号機の使用済み核燃料プールが破滅的事態を免れ、この被害想定が現実のものにならなかったのは僥倖ともいえることなどから、使用済み核燃料も炉心部分と同様に少なくとも原子炉格納容器のような堅固な施設によって閉じ込められる必要があるが、そのような堅固な設備は存在しないなどとして、使用済み核燃料の危険を認めた。使用済み核燃料プールの位置は、加圧水型と沸騰水型とで異なるが、使用済み核燃料プールが建屋にしか囲われていないことは、全国の原発に共通する問題である。

4.新規制基準について

 現在、各地の原発の新規制基準適合性に係る審査が行われているが、本判決は、「新規制基準には外部電源と主給水の双方について基準地震動に耐えられるまで強度を上げる、基準地震動を大幅に引き上げこれに合わせて設備の強度を高める工事を施工する、使用済み
核燃料を堅固な施設で囲い込む等の措置は盛り込まれていない」から、上述した「問題点が解消されることがないまま新規制基準の審査を通過し」再稼働に至る可能性があり、この場合、「安全技術及び設備の脆弱性は継続することとなる」として、新規制基準適合性に係る審査が原発の安全性を担保するものではないことを明らかにしている。
  そして、原発運転差止訴訟という観点からは、「新規制基準の対象となっている事項に関しても新規制基準への適合性や原子力規制委員会による新規制基準への適合性の審査の適否という観点からではなく」、本件原発において、福島第一原発事故のような「事態を招く具体的危険性が万が一でもあるのかが判断の対象とされるべきであ」るとして、司法判断が新規制基準適合性に係る審査に左右されないとしている点が重要である。

5.本判決が全国の原発の再稼働に与える影響について

  本判決は、大飯原発3、4号機の運転差止めを命じたものであるが、その結論に至る理由は、上述のとおり全国の原発にあてはまるものである。そして、本判決が指摘する原発の危険性は、いずれも原発が抱える本質的な危険性である。
 本判決に対しては、原子力推進の立場に立つ科学者等から「科学的でない」、「素人判断」等の批判がなされているが、上述の入倉名誉教授も本判決が指摘する基準地震動を超える地震発生の危険を認めているように、本判決が指摘する危険性は、いずれも科学的に争いのない事実に基づき認定された原発が抱える本質的な危険性であり、電力会社も原子力規制委員会も否定できない危険性であるはずである。
 しかし、彼らは、これらの危険性を正面から認めようとしないが、その理由は明らかであり、これらの危険性を解消しようとすれば莫大なコストがかかるからである。田中俊一原子力規制委員会委員長は、本判決を受けて、本判決が指摘する原発の危険性について何ら言及することなく、「従来どおり、我々は我々の考え方での適合性審査をしていくということになろうかと思います。」とコメントした。このような姿勢は、司法判断を軽視する不当なものであることは言うまでもなく、また、本判決が指摘した原発が抱える本質的危険性を正面から否定できないまま,再稼働にお墨付きを与えようとしていると捉えられても仕方がないものである。


  今後も粘り強い市民の努力により、本判決が指摘した危険性をはじめ、原発の本質的な危険性について、原子力規制委員会に、そし
て政府に正面から回答させることが必要である。そのために本判決を利用頂ければ望外の喜びである。

 

 

 

2014年5月21日大飯原発3,4号機運転差止請求事件に対する弁護団コメント

   声明  

 

2014年5月22日 院内集会での笠原一浩弁護士のコメント (弁護団事務局長)



「判決要旨の最初のページと最後のページをご覧ください。最初のページでは、人格権が憲法上、最も高い価値を有すること、最後のページでは、原発事故こそ本当の意味で国の富を失わせることや、ましてやCO2削減を口実に原発を推進することが言語道断であると、大変美しい日本語で書かれています(会場拍手)。

 私も訴状で、これとほぼ同じ内容のことを書いたのですが、悔しいことに、私の訴状の文章よりもよくできた文章です(会場笑い)
 これは、裁判官の資質もさることながら、訴状提出後、判決までに、原告の皆さんが口頭弁論で行った意見陳述に、裁判官がじっくり耳を傾けたこと、あるいは、原告以外にさまざまな市民の皆さんの意見を目にしたことも、直接間接に、今回の判決に影響したことでしょう。そういう意味では、原告団の勝利であるのはもとより、皆さん全体の勝利だということができます。改めて、お礼申し上げます。

 一方、そのような素晴らしい判決だからこそ、原子力ムラからの猛烈なバッシングが予想されます。新聞の識者コメント欄を見ると、さっそく御用学者の先生方が、『判決は科学を理解していない』と述べています。(会場怒り)
 しかし、学部課程とはいえ、一応、京都大学理学部で地球物理学を専攻した人間から見ると、少なくとも御用学者の先生方よりは、裁判所の方が、はるかに科学の本質を理解しています(会場拍手)。
 科学的知見とは、決して固定したものではありません。例えば、今でこそ地動説が常識でしたが、かつては天動説が常識でした。ましてや、原子力のような複雑な技術であれば、複数の科学的知見が存在するのがむしろ当然です。
 モンテスキューは、今から200年以上も前に『法の精神』で、『立法、行政、司法が一つの手に握られることがあれば、すべては失われてしまうだろう』と警告しました。もし、行政がよって立つ見解のみが正しく、裁判所はそれに従わなければならないのであれば、憲法が三権分立を定め、司法権に紛争解決機能を与えた趣旨が失われてしまいます。


 この美しい日本の大地を原発から守り、また美しい日本国憲法を安倍政権から守るため、皆さん、がんばりましょう。私たち弁護団も、この美しい判決を守るべく、全力を尽くします!(会場拍手)」

(上記は、その後に参加した、毎週金曜日に開かれている官邸前行動でのコメントですが、院内集会のコメントもほぼ同様)。

 

弁護団声明

大阪高裁の

     大飯原発3,4号機運転差し止め仮処分命令申立事件の               決定に対する弁護団コメント

                                   2014.5.12

 5月9日、大阪高裁は、住民の抗告を却下した。この決定は、原発の危険性に関する判断を一切回避したもので、司法の責任を放棄したものと言わざるを得ない。

 一方で、この決定は、いかなる意味においても、大飯原発が安全であることを示すものではない。

 今回大阪高裁が出した決定は、現在福井地裁で行われているような「訴訟」に対する判断ではなくて、あくまでも「仮処分の申立」に対する判断である。

 仮処分の申立について定めた民事保全法は、13条1項において、「保全命令の申立は、…保全すべき権利…及び保全の必要性を明らかにして、これをしなければならない。」と規定するところ、大阪高裁は、「保全すべき権利」、つまり、住民らが関電に差し止めを請求する権利があるか否かについては、一切判断しなかった。大阪高裁は単に、「保全の必要性」、つまり、判決が作成されるのを待っていたのでは権利の実現が不可能か困難になるほどの緊急性があるかどうかを判断したに過ぎない。

 大阪高裁が被保全権利を否定できなかった背景に、大阪の原告団・弁護団の粘り強い努力があったことは容易に想像することができ、大阪の皆さんに、改めて最大限の敬意を表したい。

 また、福井地裁判決に期待される歴史的役割は、大阪高裁が判断を回避したことで、ますます大きなものとなった。我々福井弁護団は、今後も大阪の、そして全国の皆さんと連携して、大飯原発の差し止めに向けて、引き続き努力していく。

   福井「大飯原発3,4号機運転差し止め請求事件」弁護団長 佐藤辰弥

 

弁護団声明

 大阪地裁の

  大飯原発3,4号機運転差止仮処分命令申立事件の決定について

                               2013年4月16日


● 現に福島第一原発事故が、安全審査指針の崩壊(津波、単一故障指針、多重防護)を明らかにし、安全審査指針を満たしていれば安全と判断してきた過去の司法審査の誤りを明らかにした以上、司法は原発の危険性を直視して、万が一にも事故を起こす危険が本当にないのか、より慎重な判断をすべきである。

● 特に、敷地内を通るF6断層が、活断層でないかどうか原子力安全・保安院の結論が出ておらず、関電も6月末までにトレンチ調査をして調査をすると言っているのに、裁判所が「地層のずれは地滑りの可能性が強く、断層運動であると認めるに足らない。」などと判断するのは明らかにおかしい。時期尚早の決定であった。

● 我々福井弁護団は、この決定にくじけることなく、また同種訴訟を展開している他の地域とも協力して、差し止めに向けて努力していく
              

福井「大飯原発3,4号機運転差止請求事件」弁護団(文責:佐藤辰弥)

 

 

 

 

弁護団ご紹介

佐藤 辰弥

弁護団団長 

佐藤法律事務所 

〒910-0019 福井市春山1‐1‐14 福井新聞さくら通りビル2階

小島 次郎

 

佐藤法律事務所

笠原 一浩

弁護団

 事務局長

みどり法律事務所 

 〒914-0041 敦賀市布田町84-1-18

安部 剛

弁護団

事務局長次長

吉村・麻生・安部法律事務所  

〒910-0004  福井県福井市宝永4丁目9-15

円居 愛一郎 

 

円居・北川法律事務所 

 〒910-0019 福井市春山2-1‐6 

鹿島 啓一

弁護団

事務局長次長

 

金沢税務法律事務所  

〒920-0025 金沢市駅西本町5-1-1MTビル2階

島田 広

 

泉法律事務所  

〒910-0004 福井市宝永4-9-15 千葉ビル3階

吉川 健司

 

泉法律事務所

坪田 康男

弁護団副団長

あすわ法律事務所  

〒910-0019 福井市春山1-1‐14 福井新聞さくら通りビル2階

黛 千恵子

 

あすわ法律事務所

寺田 昇市

 

山本・寺田法律事務所  

〒915-0074  福井県越前市蓬莱町6番24号サンライフ1階

河合 弘之

海渡 雄一

岩淵 正明  他

 

 

脱原発弁護団全国連絡会

 

 

 

42名

 

柏崎刈羽原発訴訟弁護団の新潟弁護士会の方々

現在弁護団は県内外77名で構成されています。(2012年2月13日現在)  

 

 

2012年11月30日

 大飯3・4号機運転差し止め訴訟についての弁護団声明


 昨年3月発生した福島第一原発事故は、我が国全体に、極めて重大な被害を もたらしました。農地や漁場など食糧生産の場、あるいは生活の場は、広範か つ深刻な放射能汚染に見舞われました。環境中に放出された放射性物質の量は、 広島に投下された原子爆弾の数百倍から数千倍に上るとも言われています。内 部被ばくなどによって、子たちを含む、多くの人々に対する健康被害も危 惧されています。健康被害を恐れ、住み慣れた故郷を離れて県内外に避難した 人々は優に十万人を超えます。食品汚染、あるいは汚染の疑いによる農林水産 業への被害も計り知れません。被ばく労働の問題も無視できません。

 そして福島第一原発事故は、従来の安全審査指針が、現実の地震に対して全 く無力だったことを明らかにしました。従来の安全審査指針は、長期間の全電 源喪失を考慮しなくてよいとしていましたが、福島第一原発事故においては、 現実に長期間の全電源喪失が発生しました。従来の安全審査指針は、単一故障 指針を採用し、ある安全装置が一つ故障した場合においても他の装置によって 事故に対処できればよいとしていましたが、福島第一原発事故においては、1 3台あった緊急電源用ディーゼル発電機のうち12台が地震もしくは津波によ って破壊され、冷却水の循環に失敗しました。単一故障指針は、現実の事態に よってその妥当性を否定されたのです。そして、現時点において、福島第一原 発事故の原因は未だ明らかになっておらず、したがって、福島第一原発事故を 踏まえた安全対策も確立されていない状態です。

 それにもかかわらず、関西電力は、本年7月1日、対症療法的な津波対策・ 電源対策を講じただけで大飯原発3,4号機の運転を再開しました。しかも、 大飯原発の敷地内には活断層が存在する可能性が高く、多くの専門家が活断層 の有無に関する調査を改めて行うよう求めましたが、要望を受けた調査がなさ れないまま運転が再開されました。本年7月3日に開かれた原子力安全・保安 院による地震・津波に関する意見聴取会では、関西電力が同原発設置時に提出 した同断層のトレンチの写真などを紛失し、意見聴取会に向けて提出しなかっ たことにより、審議がなされなかったという事態すら生じました。そして、1 1月2日に原子力規制委員会が行った大飯原子力発電所の断層調査と、4 日に同 委員会が行った評価会合では、敷地内のF-6 断層のズレは、12-13 万年前以降 に生じたことが確認されました。この事実は、大飯原発直下に活断層がある可 能性を示唆しています。

 原告団は、そして我々弁護団は、これ以上大飯原発の運転を続けることによ って、原発事故の危険が今後も続いていくことを、人々の、そしてすべての生 き物の生命・身体に対する危険が今後も続いていくことを、これ以上看過する ことができません。そこで本日、提訴に至りました。二度と原発事故を起こし たくない、そんな思いでおられる全ての皆さんと共に、この裁判に臨んでいき たいと思います。